コラム

リンパマッサージの正しいやり方を図解で解説|基本手技から部位別ケアまで

リンパマッサージの正しいやり方
目次


リンパマッサージは、やり方ひとつで巡りやすさが大きく変わります。

強く押しすぎたり、間違った方向にさすったりすると、効果が半減するだけでなく、肌や血管への負担になることも。

この記事では、経絡リンパマッサージの施術現場で30年行ってきた「本当に効くやり方」の基本を、姿勢・手の使い方から手技のコツまで整理したうえで、顔・首・肩・脚など気になる部位ごとのやり方へご案内します。

マッサージを始める前に、まず全身のリンパが流れる方向を確認しておきましょう。この後ご紹介する手技も部位別のケアも、手を動かす向きはすべてこの図が基準になります。

全身のリンパの流れと流す方向を示した図。リンパマッサージは体の末端からリンパ節に向かって流すリンパは全身をめぐり、最終的に鎖骨の下あたりで静脈に合流します。

図のとおり、リンパの流れは一方通行です。

脚なら足先から脚の付け根(そけい部)へ、腕なら指先から脇の下へ。体の末端から最寄りのリンパ節に向かって手を動かすことが、どの部位にも共通する大原則です。

向きを間違えたまま強くこすってしまうと、せっかくのマッサージがかえって巡りを妨げることもあります。

リンパがなぜこの方向に流れるのか、体の中でどんな役割を果たしているのかについては、別の記事で詳しく解説しています。仕組みから理解したい方は、あわせてお読みください。

リンパの流れを図解|方向・仕組み・改善法を銀座30年の専門家が解説

先に要点だけ

基本は「体が温まっているときに」「末端から中心(リンパ節)へ」「痛気持ちいいと感じる強さ」で行うこと。手のひらを皮膚にしっかり密着させ、力を抜いてなでるように動かすのがコツです。全身の基本を押さえたら、気になる部位ごとのやり方は本文中の各リンクからご覧いただけます。

SECTION 01

まず整えたい、姿勢と手の使い方

リンパマッサージは手技そのものより先に、姿勢と手の使い方でほぼ効果が決まると言っても過言ではありません。よくある間違いと見比べながら確認してみましょう。

リンパマッサージの正しい姿勢

○ 姿勢|正しいやり方

肩の力を抜き、背すじをまっすぐに保ちます。視線はできるだけ前へ。手元ばかり見て前かがみになると、それだけで肩や首に余計な力が入ってしまいます。

リンパマッサージの間違った姿勢

✕ 姿勢|よくある間違い

背中が丸まり、腕だけを動かしている状態です。体幹が使えないぶん手先に力が入りやすく、疲れる割に流れが整いにくくなります。

リンパマッサージの正しい手の使い方

○ 手の使い方|正しいやり方

手のひら全体を皮膚にしっかり密着させ、力を抜いてなでるように動かします。手と肌の間に隙間ができないことが大切です。

リンパマッサージの間違った手の使い方

✕ 手の使い方|よくある間違い

指先だけで強く押してしまう、あるいは手が浮いて摩擦だけになっている状態です。皮膚の表面がこすれるだけで、奥の流れまでは届きにくくなります。

SECTION 02

4つの基本手技と、全身を流す順番

リンパマッサージの手技は、大きく4つに分けられます。部位ごとに使い分けるというより、この4つを組み合わせて使うイメージです。

リンパマッサージのさする手技ー手掌軽擦法

さする

手のひら全体で、皮膚の表面を軽くなでるように動かします。マッサージの始めと終わりに、その部位を温める目的でも使います。

リンパマッサージのもむ手技ー手掌揉捏法

もむ

筋肉のこりや張りが気になる部分を、指や手のひらでやさしくつかむように動かします。強くつかみすぎないのがポイントです。

リンパマッサージの押す手技ー四指圧迫法

押す

手のひらや指の腹を皮膚に密着させ、体重をじんわりのせるように押します。「痛気持ちいい」と感じる強さが目安です。

リンパマッサージの叩く手技ー拍打法

たたく

手のひらの下側や指先で、リズミカルに軽くたたきます。強い刺激ではなく、心地よい振動を伝えるイメージです。

この4つの手技を使って、全身をどう流せばいいのか。基本の考え方は「末端から中心(リンパ節)へ、一方向に」です。まずはこの4ステップで、全身の流れをつかんでみてください。

1鎖骨と脇の下、鼠径部をほぐす

老廃物の「出口」にあたるリンパ節を、さする手技であらかじめゆるめておきます。ここが詰まったままだと、後から流したものの行き場がなくなってしまいます。

2手足の先など、末端からさする

指先やつま先など、体の末端から少しずつ中心に向かってさすります。皮膚に手のひらを密着させ、なでるように動かすのがコツです。

3関節まわりを押す

手首・ひじ、足首・ひざ裏など、リンパが滞りやすい関節まわりを、痛気持ちいいと感じる強さで押します。

4中心のリンパ節に流し込む

最後は鎖骨・脇・鼠径部などのリンパ節に向かって、ゆっくり流し込むように仕上げます。ここまでが全身の基本の流れです。

「なぜこの順番がいいのか」をもう少し詳しく知りたい方は「リンパマッサージの効果的な順番」を、ストレッチと組み合わせたい方は「リンパマッサージとストレッチを最適な順番で行う方法」をご覧ください。

SECTION 03

効果を高める6つのポイント

体が温まっているタイミングで行う(入浴後などがおすすめです)

水分をとってから行う(流すためのめぐりの材料を補います)

末端から中心(リンパ節)へ、一方向に流す

「痛気持ちいい」強さで――強すぎるとリンパ管を潰し、逆効果になることがあります

手の力を抜き、皮膚にしっかり密着させる

毎日少しの時間でも続ける――1回の強さより、継続のほうが効くと考えられています

SECTION 04

部位別リンパマッサージのやり方

どの部位から始める場合も、最初に「出口」を開けておきましょう。鎖骨まわり・脇の下・そけい部を手のひらで軽くさすっておくと(SECTION 02の順番STEP1)、末端から流したリンパの行き先ができ、同じ手技でも巡りやすさが変わります。そのうえで、気になる部位の基本手順に進んでください。

顔・頭まわり

顔のリンパマッサージをする女性

顔は皮膚が薄く筋肉も細かいため、体のほかの部位より弱い力で、指の腹でなぞるように行うのが基本です。

基本の手順(小顔ケアの基本形)

  1. 手のひら全体で、あごから鎖骨へ首の前面をなで下ろす(両手交互に)
  2. あご先から耳の下(耳下腺リンパ節)、さらにこめかみへ、フェイスラインに沿って手のひらで包み込むようにさする(片側10回)
  3. 小鼻の横・口角に4本の指を当て、耳の前に向かってラインを引くようにさする
  4. おでこの中央に指を当て、生え際に沿ってこめかみまで円を描くようにさする

「気持ちいい」と感じる強さが上限です。1日2回までを目安に、洗顔後の清潔な肌にオイルをつけて行いましょう。

→ 写真付きの詳しい手順:小顔マッサージのやり方

関連:首のリンパマッサージのやり方 / 頭マッサージの基本 / 眼精疲労の治し方

上半身

肩こりをマッサージで解消しよう

首や肩は、姿勢のクセによってこりの出方が変わりやすい部位です。まずはどのタイプにも共通する基本の流れから始めましょう。

基本の手順(首・肩こりケアの基本形)

  1. 鎖骨の上と下を、左右の手のひらで交互にさする(約1分)
  2. 耳の下から肩先へ、首の側面をさすり下ろす(反対側も同様に)
  3. 手のひらを上に向けて腕を伸ばし、手首から脇の下へ腕の内側をさすり上げる
  4. 背中の高い位置に両手を当て、肩甲骨の間から腰へ左右交互にさすり下ろす

首まわりは特にデリケートです。押し込まず、「さする」中心で行ってください。

→ 写真付きの詳しい手順:肩こりマッサージのやり方

関連:デコルテマッサージのやり方 / 背中のマッサージのやり方 / 腕のマッサージのやり方

体幹・引き締め

お腹の肉が気になる女性

体幹まわりの引き締めは、リンパの流れだけでなく、姿勢や筋肉の使い方も関わってきます。ここでは引き締めケアの代表として、太ももの基本手順をご紹介します。

基本の手順(太ももの引き締めの基本形)

  1. 椅子に浅く腰かけ、両手のひらで前ももを包み、体重をのせるように押す
  2. ひざのすぐ上から脚の付け根へ、手のひらを左右交互に動かしてさする
  3. 握りこぶしをつくり、外ももを脚の付け根に向かって滑らせる
  4. 内もも・外ももを、手を交互にずらしながらやさしくもむ
  5. 立ち上がり、ひざ裏からお尻と太ももの境目まで、両手のひらでさすり上げる

手の力でもむのではなく、体全体で圧をかける感覚で行うと疲れず、圧も安定します。

→ 写真付きの詳しい手順:太ももを細くするマッサージ

関連:お腹のリンパマッサージのやり方 / 腰痛マッサージのやり方 / バストアップマッサージのやり方

脚・足

足のリンパマッサージをする女性

立ち仕事でもデスクワークでも、脚は一日の終わりに最もむくみが出やすい部位です。足先からそけい部まで、下から上へ順番に流します。

基本の手順(足先からそけい部まで)

  1. 両手で足を包み、親指で足裏全体を押す(各10秒)
  2. 足の甲も同じように、まんべんなく押す
  3. 足の指を親指と人差し指で挟み、付け根から先へ1本ずつもむ
  4. 足首からひざ裏(膝窩リンパ節)へ、左右の手のひらを交互に密着させてさすり上げる(各15秒)
  5. ひざから脚の付け根(鼠径リンパ節)へ、内側・外側の両方をさすり上げる

痛みを感じる箇所は、圧を弱めてその分回数を増やすのがコツです。

→ 写真付きの詳しい手順:足のリンパマッサージのやり方 / ふくらはぎマッサージのやり方

「そもそもリンパマッサージとは何か」から知りたい方は、「リンパマッサージとは?効果とやり方」もあわせてご覧ください。

SECTION 05

現場で、いつも伝えていること

私が銀座で30年、治療院の院長として多くの方を施術してきて感じるのは、「やり方」を頭で覚えるほど、かえって手が固くなってしまう方が多いということです。

手順を正しくなぞろうとするあまり、力が入り、皮膚に手が密着しなくなってしまうのです。

ですから講座やスクールでも最初にお伝えするのは、手順の前に「肩の力を抜くこと」。

そして、感謝と愛情を込めて、笑顔で行うこと。

この心持ちひとつで、同じ手の動きでも伝わり方がまったく変わってくると、長年の施術現場で実感しています。

リンパマッサージは笑顔で行うこと

セルフケアで基本を身につけたら、あとは毎日の生活の中で「気持ちいい」を大切にしながら続けてみてください。

それだけで、続けやすさも効果の実感も、大きく変わってくるはずです。

SECTION 06

行う前に確認したいこと

マッサージを行う部位や手は清潔にしてから始めましょう。
食後2時間以内や飲酒後、発熱時、体調がすぐれないとき、皮膚に傷や炎症があるときは行わないでください。
妊娠中の方や持病のある方は、事前にかかりつけ医にご相談ください。
より詳しい注意点は「リンパマッサージの注意点」でまとめています。

よくいただく質問

Q. 正しいやり方が身についているか、自分では分かりません。

A. まずは本文の「姿勢」「手の使い方」の○×比較から見直してみてください。
それでも不安な方は、一度プロの施術で正しい力加減や手の動きを体感していただくと、セルフケアの精度も上がりやすくなります。

Q. オイルやクリームは必要ですか?

A. 必須ではありませんが、使うと手が滑りやすくなり、皮膚への摩擦を抑えながら密着させやすくなります。乾いた手のまま行うと、皮膚を強くこすってしまうことがあるため注意しましょう。

Q. どのくらいの時間・頻度で行えばいいですか?

A. 1回5〜10分程度を目安に、毎日少しずつ続けることをおすすめしています。
長時間・高頻度で行うより、無理なく続けられる強さと時間を選ぶほうが、めぐりを整えやすいと考えられています。

Q. 自己流でやっていて、効果を感じにくいのですが。

A. 姿勢や手の密着が崩れていると、表面をなでるだけになりやすい傾向があります。
気になる部位別のやり方ページも参考にしていただきつつ、根本から整えたい場合はプロの施術もあわせてご検討ください。

セルフケアで基本を押さえたら、ご自身では届きにくい深部のめぐりまで整えたいときは、ぜひ専門家の手にお任せください。

銀座ナチュラルタイムでは、国家資格を持つセラピストが「経絡リンパマッサージ」で全身のめぐりを丁寧に整えます。

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この記事を監修した人
渡辺 佳子 (わたなべ けいこ)

銀座ナチュラルタイムグループ 総院長
一般社団法人 経絡リンパマッサージ協会 代表理事
東京医療専門学校 教員養成科 オイルマッサージ臨床学の非常勤講師を長年務める。

経絡リンパマッサージの第一人者として、海外書籍を含め70冊以上、雑誌などの監修誌は1000誌を超える実績を持つ。TV、雑誌、企業の美容健康関連商品などで多くの監修を手がける。女性のための健康と美のセルフケアの普及、鍼灸マッサージ師の臨床教育などにも力を入れている。また、自らの臨床経験を生かし、健康や医療、予防医学の大切さをライフワークとして伝え続けている。さらに、身近な美容やダイエット、食事や生活を通じて、ベビーやママ、女性たちの幸せな毎日を応援している。