脚やせマッサージのやり方|原因別・部位別の手順を専門家が解説
「同じ生活をしているつもりなのに、この一年で体重が増えた」「食べる量は変えていないのに、お腹まわりだけ変わった」。
仕事や人間関係の負担が続いている時期に、そう感じてこのページを開かれた方が多いのではないでしょうか。
ストレスによる体重の増加は、意志が弱いから起こるものではありません。負担が長く続くと、ホルモンの出方、自律神経の働き、眠りの深さが少しずつ変わっていきます。
その結果として、食欲や体の巡りが変わります。心の負担が先にあって、食べすぎは後から起きている。これがストレス太りの順番だと、私たちは考えています。
このページでは、ストレス太りが起きる仕組みを整理したうえで、ご自宅でできるリンパマッサージの手順と、あわせて整えたい生活の習慣をお伝えします。銀座で30年、経絡リンパマッサージと鍼灸を続けてきた立場からお話しします。

ストレス太りは、体重計の数字だけでは見分けがつきません。食欲、眠り、巡り。この3つに同時に変化が出ているかどうかが手がかりになります。
セルフチェック
忙しい時期になると、甘いものや味の濃いものが食べたくなる
お腹がすいているわけではないのに、口が寂しくて何かをつまむ
食事の時間が日によってばらばらで、夕食が遅い
寝つきが悪い、または夜中に目が覚める
朝より夕方のほうが、顔や脚が重く感じる
首や肩がいつも張っていて、頭が重い日がある
体重はそれほど増えていないのに、服がきつくなった
休みの日も、頭のどこかで仕事のことを考えている
3つ以上当てはまる方は、食べた量そのものより、ストレスが続いていることのほうが体重に影響しているかもしれません。とくに下から4つ目までがそろっている場合は、巡りの滞りも重なっていると考えられます。
むくみとストレスのつながりについては、むくみとストレスの意外な関係でくわしくお話ししています。

「ストレスで太る」と一言で言われますが、その間には4つの段階があります。どこでつまずいているかが分かると、手の打ちどころも見えてきます。
ストレスを受けると、体は対抗するためにコルチゾールというホルモンを出します。エネルギーを作り、体を守るために欠かせないホルモンです。
ところが、このホルモンが出続ける状態が長引くと、食欲を抑える側にはたらくセロトニンが減っていくと言われています。「甘いものを我慢できなかった」「気づいたら食べていた」という夜は、意志の問題ではなく、この変化が背景にあると考えられています。
あわせて、脳から出るドーパミンも食欲を後押しします。ストレスの多い日に、味の濃いものや脂っこいものを選びたくなるのは自然な反応です。
緊張が続くと、血管は収縮しやすくなります。手足が冷え、水分や老廃物が下半身にとどまりやすくなり、夕方には脚が重くなります。ストレス太りの一部は、脂肪ではなくむくみです。この部分は、比較的短い期間で変わりやすいところでもあります。
自律神経そのものの整え方は、自律神経を整えるマッサージのやり方にまとめています。手足の冷えが強い方は、冷え性のマッサージとツボ押しもあわせてご覧ください。
寝つきが悪い日や、途中で目が覚める日が続くと、翌日は甘いものが欲しくなりやすくなります。眠りが足りないと食欲に関わるホルモンのバランスが変わるためで、これも複数の報告があります。ストレス太りを気にされている方の多くが、実は睡眠のほうに先に変化が出ています。
気持ちに余裕がないと、出歩く気力がなくなります。在宅勤務が増えてからは、一日の歩数が半分以下になったという方も珍しくありません。座っている時間が長いほど、脚のポンプがはたらかず、巡りはさらに滞ります。
滞りが続くと体にどんなあらわれ方をするのかは、リンパの流れが悪いとどうなるかで7つに分けて説明しています。
銀座の施術室から
ストレス太りのご相談でいちばん多いのは、「食べる量は変えていないのに、去年の服が入らない」というお声です。実際に触らせていただくと、お腹まわりよりも先に、首の後ろと胸の前がかたくなっている方がとても多いです。
緊張が続くと、呼吸が浅くなって胸がすぼまり、肩が前に入ります。体感ではありますが、その状態のままお腹だけを流しても変わりにくく、胸と首をゆるめてから下に降りていくと、施術後の軽さがまったく違います。ストレス太りのケアを胸と腕から始めていただくのは、そのためです。
銀座ナチュラルタイム 総院長 渡辺佳子

ここを取り違えると、必要のない食事制限に走ってしまうことがあります。まずはご自分がどちらなのか、あるいはどちらも重なっているのかを確かめてください。
つまんでみる
お腹や太ももを指でつまんで、厚みがしっかりつかめるなら脂肪が多め。つまみにくく、押すと張って硬い感じがするときは、水分や老廃物がたまっていると考えられます。
朝と夕方を比べる
朝は普通なのに、夕方になると顔や脚が重い。一日の中で差が大きい方は、むくみの割合が高いことが多いです。
跡を見る
靴下のゴムやベルトの跡がくっきり残り、すねを指で押すとへこみが戻りにくいときも、水分がとどまっているサインと考えられています。
両方が重なっている方が、実際にはいちばん多いです。むくみの部分は動かせば変わりますが、脂肪の量そのものは食事と運動なしには変わりません。
ここは正直にお伝えしておきます。むくみのケアだけを知りたい方は、むくみのセルフケアのページが参考になります。

ストレス太りが気になると、多くの方はまず食事を減らします。数字は一度下がりますが、しばらくすると戻る。この繰り返しを経験されている方は少なくありません。
理由のひとつは、食事制限そのものが体にとってのストレスになるからです。もともと負担がかかっている状態に、我慢という負担を積み増すことになります。すると食欲のブレーキはさらにゆるみ、反動が大きくなります。
ストレスの外的な原因を、自分の力でなくすことは簡単ではありません。上司を替えることも、締め切りをなくすこともできないからです。
そこで発想を変えて、受け取る側である自分の体を、ストレスに耐えやすい状態に整えておく。
これが私たちの考え方です。順番としては、緊張をゆるめて眠りを整えるほうが先で、食事の見直しはそのあとのほうが続きます。

東洋医学に、ストレスという単語そのものはありません。けれど、それを生み出す人間関係や環境は、東洋医学が形になった2000年以上前から大きく変わっていないのでしょう。同じ状態を指す言葉が、いくつも残されています。
イライラが募って落ち着かない状態は、肝風内動と呼ばれます。体の内側に風が吹いて、心が揺れている、という見立てです。肝は五臓六腑のひとつで、怒りの感情を受け持つとされています。
大切なのは、この肝の高ぶりが、消化を受け持つ脾に影響すると考えられている点です。ストレスが食欲や胃腸の調子に出るという、経験的によく知られた流れが、ここで説明されます。
そして、すべての精神活動をまとめているのが心です。心そのものが傷つく前に、代わりに受け止める心包という存在があると考えられてきました。文字どおり、心を包む壁です。ですから東洋医学の考え方では、ストレスへのケアはまず心包から始めます。次にご紹介する手順が腕の内側から始まるのは、そこに心包の経絡が通っているからです。
経絡という考え方そのものについては、経絡リンパマッサージとは何かをご覧ください。
上半身の緊張をゆるめることを目的にした手順です。全部で5分ほど。お風呂上がりなど、体が温まっているときに行ってください。押す動作は、息を吐きながらゆっくり。強く押すほどよいというものではありません。
手順 1

手のひらを上に向け、反対の手の指4本で、手首の内側から肩の先へ向かってさすり上げます。最後は脇の下のくぼみまで流してください。次に、手首のしわから指3本ぶん肘寄りにある内関のツボを、親指でゆっくり押します。腕の内側の中央にあり、押すと少し響く感じがするところです。左右とも行います。
手順 2

胸の中心に手のひらを置き、みぞおち、お腹、脚の付け根まで、両手を交互に使ってやさしくさすり下ろします。10回ほど。そのあと、左右の乳頭を結んだ線の中央にある膻中のツボを、息を吐きながら指4本で押します。緊張が強い方ほど、ここに圧痛が出やすいところです。
手順 3

耳の下から肩の先へ、次に耳の下から鎖骨のくぼみへ。両手のひらを交互に使って、さすり下ろします。ストレスが続いている方は首がかたくなりやすいので、ここは少していねいに。強くもまず、皮膚を軽く動かす程度で十分です。首のこわばりが強い方は、首こりの解消法もあわせてご覧ください。
手順 4

指2本で、あごの先から耳の下へさすり上げます。次に、両手の指を交互に動かして額を引き上げ、額からこめかみへ流します。最後にもう一度、耳の下から鎖骨へ落として終わりです。
やってみて変わりにくいと感じるときは、上半身だけでなく全身をひととおり流してみてください。
順番はリンパマッサージを自分でやるための基礎知識に、手の使い方はリンパマッサージの正しいやり方に図解でまとめています。
お腹まわりが気になる方は、お腹のリンパマッサージを続けて行うとよいと考えています。
ここでご紹介した手順は、渡辺佳子の著書「1分間リンパマッサージダイエット」から一部を抜き出してまとめました。より詳しい内容は書籍をご覧ください。

ストレス太りは、体だけを触っていても変わりにくいところがあります。手をつけやすいものから、ひとつずつで構いません。
眠りを、先に整えます
寝る時刻より、起きる時刻をそろえるほうが続きます。朝に光を浴びると、その日の夜の眠りにつながります。就寝前1時間の画面を控えるだけでも、寝つきは変わります。
息を、長く吐きます
緊張しているとき、呼吸は浅く速くなっています。4秒吸って8秒かけて吐く。これを1分続けるだけで、体はゆるみやすくなります。呼吸の浅さが気になる方は、呼吸が浅い原因と整え方をご覧ください。
量より、食べ方を変えます
まず減らすのではなく、よく噛むこと、朝にたんぱく質を入れること、夕食を早めることから。制限は反動を呼びますが、順番と回数の見直しは反動が出にくいと考えています。
短くても、歩きます
ふくらはぎは、下半身の巡りを押し上げるポンプです。一駅ぶん歩く、階段を使う。まとまった運動でなくても、座り続ける時間を切ることに意味があります。
途中で痛みや気持ち悪さを感じたら、すぐにやめてください。
また、短い期間に体重が大きく変わったとき、強い倦怠感やむくみが続くとき、気分の落ち込みが長引いているときは、ストレス太りとは別の原因が隠れていることがあります。その場合はセルフケアの前に、まず医療機関にご相談ください。
Q. どのくらい続けると変わりますか。
夕方の脚の重さや顔の張りといった、むくみの部分は数日で軽くなったというお声を多くいただきます。体つきそのものの変化となると、体感ではありますが、眠りと食べ方を並行して整えながら1か月から3か月ほど続けている方が実感されています。
Q. マッサージだけで体重は落ちますか。
マッサージだけで体重が落ちるとは、私たちは考えていません。たまっていた水分が動いて軽くなることはありますが、脂肪の量を変えるには食事と運動が必要です。この関係については、リンパマッサージで体型が変わるのはなぜかで正直にお話ししています。
Q. 私はストレスを感じると、逆に食べられなくなります。
ストレスには、短期間に強くかかるものと、長く続くものがあります。前者では食欲が落ちやすく、後者では甘いものや脂質を求めやすくなると報告されています。体重が増えるかたちで出るのは、多くの場合、長く続いているほうです。どちらであっても、体がゆるむ時間をつくることは同じように大切だと考えています。
Q. 忙しくて時間がありません。ひとつだけ選ぶなら。
手順1の、腕の内側を流して内関を押すところだけで構いません。座ったまま、片腕30秒でできます。デスクで気持ちが張りつめてきたときに行ってみてください。
Q. お店の施術と、セルフケアはどう違いますか。
ご自分では、背中や首の後ろなど、緊張がいちばん出やすいところに手が届きません。また、かたいのか張っているのかの見分けも、触り慣れていないと難しいところです。施術では、その日の体の状態を確かめたうえで、届かない場所からゆるめていきます。セルフケアは、その状態を保つために続けていただくもの、という位置づけで考えています。
銀座ナチュラルタイムグループ 総院長 一般社団法人 経絡リンパマッサージ協会 代表理事 東京医療専門学校 教員養成科 オイルマッサージ臨床学の非常勤講師を長年務める。 経絡リンパマッサージの第一人者として、海外書籍を含め70冊以上、雑誌などの監修誌は1000誌を超える実績を持つ。TV、雑誌、企業の美容健康関連商品などで多くの監修を手がける。女性のための健康と美のセルフケアの普及、鍼灸マッサージ師の臨床教育などにも力を入れている。また、自らの臨床経験を生かし、健康や医療、予防医学の大切さをライフワークとして伝え続けている。さらに、身近な美容やダイエット、食事や生活を通じて、ベビーやママ、女性たちの幸せな毎日を応援している。