膝が痛いときのマッサージ|内側・外側・こわばり別のやり方を専門家が解説

膝が痛い女性
目次


階段を下りるとき。椅子から立ち上がる瞬間。朝、起きてからの最初の一歩。膝が痛むタイミングは人それぞれですが、多くの方に共通していることがあります。痛む場所を、あまり意識していないことです。

膝の内側なのか、外側なのか、お皿の上か、それとも膝の下か。ほぐすべき筋肉は、その場所によって変わります。膝そのものをやみくもに揉んでも届きにくいのは、痛みの出どころが関節の外、まわりの筋肉にあることが少なくないためです。

このコラムでは、痛む場所の見分け方から始めて、基本のマッサージと、部位ごとに足す一手をご紹介します。腫れや熱感をともなう強い痛みがあるときは、セルフケアより先に医療機関へご相談ください。判断の目安は後ろにまとめています。

まず、膝のどこが痛みますか

膝を両手で包むように触れて、痛む場所を確かめているところ

膝をゆっくり曲げ伸ばししながら、いちばん響くところを探してみてください。痛みの中心がどこにあるかで、手を当てる場所が変わります。

膝の内側が痛い

いちばんご相談の多い場所です。膝の内側には、太ももの内側を走る筋肉が何本か集まって骨に付着するところがあり、ここに負担が重なると痛みが出ることが知られています。О脚ぎみの方、体重が内側にかかる歩き方の方に出やすい傾向があります。

階段を下りるとき、正座から立ち上がるときに響くようなら、内側を疑ってみてください。ケアは、膝そのものより太ももの内側から入ります。

膝の外側が痛い

太ももの外側には、骨盤から膝の外側まで伸びる長い帯状の組織があります。ここが硬くなると、膝の外側で骨とこすれ、痛みにつながることがあります。よく歩く方、走る方に多く、歩き始めは平気なのに、だんだんつらくなるのが特徴です。

この場合、痛む膝の外側を押しても変化は出にくく、太ももの外側をゆるめるほうが近道です。

お皿の上、膝の上が痛い

太ももの前側の筋肉は、膝のお皿を通って膝下の骨につながっています。デスクワークで膝を曲げ続けたあと、あるいは立ち仕事のあとに、お皿の上が張る、重いと感じるのはこのためです。膝上のもたつきが気になる方も、この筋肉が硬くなっていることが多くあります。

膝の下が重い、だるい

膝から下は心臓から遠く、巡りが落ちやすい場所です。はっきりした痛みというより重さやだるさが中心なら、膝関節そのものより、すねやふくらはぎの疲れが関係していることがあります。夕方に強くなる、靴下の跡が残るといった場合は、足のだるさの原因と対処法もあわせてご覧ください。

膝の裏がつっぱる、痛い

膝裏だけは、見分け方が違います。ふくらみや腫れをともなうことがあり、先に確かめておきたいことが別にあるためです。膝裏の痛みは膝裏が痛い時の原因の見分け方と対処法に、むくみや硬さが中心の場合は膝裏のリンパマッサージのやり方に、それぞれまとめています。

なぜ、膝の痛みは長引くのか

膝の痛みが長引く負のサイクルを示した図

膝の関節の中では、軟骨が関節を包む膜を刺激して炎症が起きることがあります。すると関節を守ろうとして液体が多く分泌されます。これがいわゆる、膝に水がたまった状態です。この液はやがて吸収され、炎症も落ち着いていきます。

ところが、一度痛みを感じると、体は膝を守ろうとして周囲の筋肉を必要以上に緊張させます。これがこわばりの正体です。そして緊張した筋肉は血管を圧迫し、膝まわりの血流を落とします。血流が落ちると、痛みを感じさせる物質が流れていかず、その場にとどまります。

さらに痛い状態が長く続くと、脳が痛みを記憶し、わずかな刺激にも過敏に反応するようになると考えられています。そしてその痛みが、また筋肉を緊張させる。この輪が回り続けることが、膝の痛みが長引く理由のひとつです。

この輪のうち、自分の手で届くのは筋肉の緊張です。そこをゆるめて血流を取り戻すことが、セルフケアの役割になります。

朝のこわばりと、動き出しのつらさ

朝起きたときに膝のこわばりを感じている女性

起きてすぐの一歩目がつらい。長く座ったあと、立ち上がる瞬間だけ痛む。でも動いているうちに、いつのまにか楽になっている。膝の痛みでは、とてもよく聞く型です。

動かさない時間が続くと、関節を潤す液が行き渡らず、まわりの筋肉も縮こまったまま固まります。そこへ急に体重をかけるので、動き出しの数歩がいちばんつらくなります。時間が経つと楽になるのは、動いたことで巡りが戻るからです。

こわばりが強い朝に、立ち上がる前にすること

  • 布団の中で、膝をゆっくり曲げ伸ばしする(10回)
  • 足首を、左右それぞれ10回まわす
  • 太ももの前に手のひらを当て、10秒ほど温める
  • 起き抜けに強く揉まない。冷えて固まった筋肉は、動かしてからのほうが応えます

これだけで、最初の一歩の感じ方が変わる方は少なくありません。急がずに、動かしてから体重をかけてください。

始める前に|控えたい日と、3つのコツ


こんな日は、膝に触れないでください

  • 膝が腫れている、赤みがある、触ると熱をもっている
  • 膝に水がたまっていると言われている
  • 歩けない、体重をかけられないほど痛い
  • 発熱時、妊娠初期、体調がすぐれないとき
  • 食後2時間以内、飲酒後、切り傷やケガがあるとき

ひとつめのコツは、関節ではなく筋肉を触ること。膝のお皿やその周囲を直接強く押しても、緊張しているのはその上下の筋肉です。太ももとふくらはぎを先にゆるめるほうが、遠回りに見えて確実です。

ふたつめは、温めてから行うこと。入浴後が向いています。冷えて縮んだ筋肉に力をかけても動きにくく、痛みだけが残りやすくなります。

みっつめは、痛みの出ない範囲にとどめること。「気持ちいい」と感じる強さが目安です。手の使い方そのものに迷う方は、リンパマッサージの基本手技を先に確認しておくと進めやすくなります。

膝周りの筋肉をほぐす、基本のマッサージ

膝のまわりの筋肉に手を当ててほぐしているところ

痛む場所にかかわらず、まずここから始めます。椅子に浅く腰かけて、片脚ずつ行ってください。痛みのない側も、予防のために同じように行います。

STEP 1

膝上から脚の付け根までさする(各1分)

膝の上から脚の付け根まで、両手でさすり上げる手順の図解

両手のひらを太ももにしっかり密着させ、膝の上から脚の付け根まで、左右交互にさすり上げます。太ももの前側全体を、面で包むように。硬い方ほど、力ではなく回数でゆるみます。

STEP 2

膝の周りをさする(各1分)

膝の内側と外側に手のひらを当てて、下から上へさすり上げる手順の図解

両手のひらを膝の内側と外側に当て、膝の下から上へ、ゆっくりさすり上げます。お皿を強く押さえつけず、包み込むように。ここで内側と外側の硬さの差を感じておくと、次のステップで足す一手が決めやすくなります。

STEP 3

梁丘のツボを押す(各1分)

膝のお皿の外側上から指3本分上にある梁丘のツボを押す手順の図解

膝のお皿の外側の上の角から、指3本分ほど上にあるツボです。両手で膝上をつかむようにして親指を重ねて当て、5秒かけて押す、5秒そのまま、5秒かけてゆっくり力を抜きます。指先の力ではなく、上体の重みをあずけるように押すのがコツです。

ここまでが基本です。ここで挙げた手順は、渡辺佳子の著書『はじめての経絡リンパマッサージセルフケア完全版』から一部を抜粋し、再構成しています。

部位別|痛む場所に、もう一手を加える

基本の3ステップのあとに、最初に確かめた場所に合わせて1分だけ足します。全部やる必要はありません。自分の場所だけで十分です。

内側が痛むとき|太ももの内側を、付け根へ

椅子に座り、膝を軽く開きます。太ももの内側に手のひらを当て、膝の内側から脚の付け根に向かって、ゆっくりさすり上げます。硬いすじを感じたら、そこで手を止めて10秒ほど押さえ、力を抜きます。内側の筋肉は縮こまりやすく、ここがゆるむと膝の内側の張りが軽くなる方が多くいらっしゃいます。

外側が痛むとき|太ももの外側を、上から下へ

脚を伸ばして座るか、横向きに寝ます。骨盤の外側の出っぱりから膝の外側までを、手のひらの付け根でゆっくり流します。ここは帯状に硬くなりやすく、痛気持ちいいくらいで十分です。指で点を押すより、面でゆっくり動かすほうが変化が出やすい場所です。太もも全体の張りが気になる方は、太もものマッサージもご参考に。

膝の上が痛むとき|太ももの前を、膝から付け根へ

STEP1をもう1分、少していねいに行います。お皿のすぐ上のふくらみを、両手の親指以外の指でやさしく上へ寄せるように動かすと、膝の曲げ伸ばしが軽くなることがあります。強く押し込まず、皮膚ごと動かす感覚で。

膝の下が重いとき|すねとふくらはぎを、上へ

足首から膝に向かって、ふくらはぎを両手で包んでさすり上げます。続けて、すねの骨の外側のくぼみを、足首から膝へ向かって親指でゆっくりなでます。膝から下の重さは、膝関節よりこちらが効くことがあります。

膝のまわりの、もう3つのツボ

梁丘だけで物足りないときに足せるツボです。いずれも左右それぞれ1分、深呼吸をしながらゆっくり押します。

  • 血海|膝のお皿の内側の上の角から、指3本分ほど上。梁丘とちょうど対になる位置です。膝の内側が痛む方はここから。
  • 足三里|膝のお皿の下、外側のくぼみから、指4本分ほど下。すねの骨の外側です。膝から下が重い方に向いています。
  • 膝眼|膝を曲げたときに、お皿の下にできる左右2つのくぼみ。両方の親指を同時に当て、押し込まずに10秒ほど留めます。曲げ伸ばしがつらい方に。

いずれも、強さは「気持ちいい」の範囲で。ツボの位置は個人差があるので、指先で探って、いちばん響くところを使ってください。

膝を守る、一日の過ごし方

  • 階段は、下りのほうが負担になります。上りより下りで体重が膝にかかります。つらい日は、下りだけエスカレーターを使う。それで十分です。
  • 正座と深いしゃがみ込みを、続けない。膝を深く曲げる姿勢は負担が大きくなります。やめる必要はありませんが、長く続けないことを意識してみてください。
  • 靴底のすり減りを見てみる。内側だけ、外側だけが減っていれば、体重のかかり方が偏っているサインです。買い替えのタイミングで見直してみてください。
  • 膝を冷やさない。冷房の風が直接当たる席、薄着での長時間の移動。冷えると筋肉は縮みます。ひざ掛け一枚で変わります。
  • 歩く量は、減らしすぎない。痛いからと動かない日が続くと、膝を支える筋肉が落ちて、かえって負担が増えます。痛みの出ない範囲で、歩く習慣は残してください。

こんなときは、医療機関へご相談ください

医師と看護師の写真

膝の痛みには、セルフケアの範囲を超えるものがあります。次のような状態は、整形外科などにご相談ください。

  • 腫れている、赤みがある、触ると熱をもっている
  • 膝に水がたまっている感じがある、張って曲げにくい
  • 膝がぐらつく、力が入らない、急にがくっと抜ける
  • 手の指の関節も腫れる、朝のこわばりが全身にある
  • 歩けない、体重をかけられない
  • 数週間続いている、またはだんだん悪化している

膝の痛みの背景には、変形性膝関節症、半月板の損傷、靭帯の損傷、関節リウマチなど、さまざまな状態が知られています。どれも見た目や感覚だけで区別できるものではありません。自己判断で揉み続けず、一度診てもらうことをおすすめします。

膝の痛みについて、よくいただくご質問

FAQ

Q. 痛いところを、直接揉んでもいいですか。

A. 痛みの中心をぐりぐり押すのは避けてください。緊張しているのは多くの場合その上下の筋肉で、痛む一点を刺激しても届きません。太ももとふくらはぎからゆるめて、最後に膝まわりへ。遠回りに見えて、こちらのほうが変化が出やすいと考えています。

Q. 毎日やっても大丈夫ですか。

A. はい。1日1回、お風呂上がりが向いています。長い時間をまとめて行うより、短く毎日のほうが応えてくれます。翌日に痛みやだるさが残る場合は、強すぎるか長すぎます。時間と圧を半分にしてみてください。

Q. どのくらい続ければ、変化を感じますか。

A. 動き出しのつらさや、こわばりの軽さは、数日で感じる方もいらっしゃいます。一方、長く続いている痛みは、それなりに時間がかかります。まず2週間を目安に毎日続けて、そこで判断してください。変化がない、あるいは強くなるようなら、いったん中止して医療機関にご相談を。

Q. 膝に水がたまっていても、マッサージしてよいですか。

A. その状態では膝まわりに触れないでください。まず医療機関で診てもらうことが先です。落ち着いてから再開する場合も、主治医に確認してからにしてください。

Q. 病院に通いながら、お店の施術を受けてもいいですか。

A. 主治医に確認してからお越しください。炎症が強い時期は、こちらでも施術をお断りすることがあります。ご予約の際に、通院中であることと、診断名をお伝えいただけると助かります。

銀座で、膝の痛みを相談するなら

銀座ナチュラルタイムで脚と膝まわりの施術を受けている女性

セルフケアは、自分の手が届く範囲を、自分の力加減で行うものです。太ももの奥や、体重のかかり方の癖まで届かせるのは、どうしても難しいところがあります。2週間続けても変わらない、朝のこわばりが強いままという方は、一度おまかせいただくのもひとつの方法です。

銀座ナチュラルタイムは、銀座で30年の歴史を持つ鍼灸リンパマッサージの治療院です。膝そのものだけでなく、太もも、ふくらはぎ、股関節まわりまでたどって、どこが膝に負担をかけているかを確かめていきます。国家資格を持つ施術者が、お体の状態をうかがったうえで、おひとりずつ組み立てるオーダーメイドの施術です。

総院長の渡辺佳子は、著書70冊以上、監修誌1000誌を超える経絡リンパマッサージの第一人者です。美は健康の最上級というコンセプトのもと、施術の方針を設計しています。

膝の痛みのご相談・初診のご予約はこちら

初診の方は、24時間オンラインでご予約いただけます。

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お電話:03-5250-1300 / LINEで予約する

施術の内容は経絡リンパマッサージのコースをご覧ください。冷えや巡りの落ちやすさなど、体質から整えたい方には鍼灸による体質改善もご用意しています。

まとめ|膝は、まわりの筋肉から

膝の調子が整い、穏やかに過ごしている女性

膝の痛みは、膝そのものより、まわりの筋肉の緊張から始まっていることがよくあります。緊張が血流を落とし、流れない痛み物質がその場にとどまり、また筋肉を緊張させる。この輪のどこかをゆるめることが、セルフケアの役割です。

やることは複雑ではありません。太ももの前をさすり、膝の周りをさすり、梁丘を押す。そのうえで、自分の痛む場所に1分だけ足す。強い力も、道具も必要ありません。

そして、痛いからと動かない日を続けないこと。膝を支えているのは、やはり自分の筋肉です。今夜のお風呂上がりに、太ももの前に手のひらを当てるところから始めてみてください。

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この記事を監修した人
渡辺 佳子 (わたなべ けいこ)

銀座ナチュラルタイムグループ 総院長
一般社団法人 経絡リンパマッサージ協会 代表理事
東京医療専門学校 教員養成科 オイルマッサージ臨床学の非常勤講師を長年務める。

経絡リンパマッサージの第一人者として、海外書籍を含め70冊以上、雑誌などの監修誌は1000誌を超える実績を持つ。TV、雑誌、企業の美容健康関連商品などで多くの監修を手がける。女性のための健康と美のセルフケアの普及、鍼灸マッサージ師の臨床教育などにも力を入れている。また、自らの臨床経験を生かし、健康や医療、予防医学の大切さをライフワークとして伝え続けている。さらに、身近な美容やダイエット、食事や生活を通じて、ベビーやママ、女性たちの幸せな毎日を応援している。